ジェスチャーはどのように第二言語習得を促進するのか: 神経科学的視点から(国際会議 口頭発表)
人は日常的にジェスチャーを使っています。それはあまりに自然で、しかしながら不可欠なコミュニケーション手段です。母語における共発話ジェスチャーの研究はかなり以前から行われてきましたが、第二言語(L2)の習得や理解におけるジェスチャーの役割に注目が集まるようになったのは、比較的最近のことです。近年の行動実験では、ジェスチャーが視覚的な手がかりとして機能し、聞き手の脳内に運動的な痕跡を残すことで、発話内容の理解と記憶を助けることが示されていますが、L2の文脈における音声とジェスチャーの統合の神経メカニズムについては、いまだ明らかになっていません。
今回、このテーマに関するfMRI研究結果を国際会議で口頭発表する機会を得て、第二言語の発話内容の再生が、脳内の「マルチモーダル統合ハブ」とされる左後部中側頭回(left pMTG)の活動と正の相関を示すことを発表しました。発表後には、第一言語・第二言語両方におけるマルチモーダル・コミュニケーションに関心を持つ多くの参加者が熱心にディスカッションに訪れてくださり、大変ありがたく感じました。

Jiaxin Yan, Victoria-Anne Flood, Motoaki Sugiura, & Hyeonjeong Jeong
How Gestures Facilitate Second Language Acquisition: A Neural Perspective
The Japanese Society for Language Sciences (JSLS), Matsuyama, Ehime University, Japan【 Oral 】
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