言語を超えて: ジェスチャーがバイリンガルの脳における話語理解と記憶保持に与える影響

本研究は、ジェスチャーという人間にとって本質的で自発的、かつ多様なモダリティを含むコミュニケーション手段が、特に第二言語(L2)の文脈において、どのように話語の理解と記憶保持を支えるかを探るものです。これまでの研究では、母語(L1)におけるジェスチャーと言語の統合に関連する神経基盤として、中側頭回(MTG)、下前頭回(IFG)、海馬傍回などが指摘されてきましたが、L2における神経メカニズムはまだ明確ではありません。本研究ではこの点に焦点を当て、ジェスチャーがL2のスピーチ処理に特に有益であり、なかでも左後部中側頭回の活動がL2の言語記憶を支える上で重要な役割を果たすことを明らかにしました。その研究成果を、国際ヒト脳マッピング学会(OHBM)でポスター発表するとともに、他分野の研究者たちの研究からも多くを学ぶ貴重な機会を得ました。
OHBMは学際的な会議であり、コンピュータサイエンスや機能的結合性、認知神経科学など、さまざまな分野の研究者が集まります。多様なバックグラウンドを持つ方々が、人間のインタラクションにおけるジェスチャーの普遍性に共感し、実験デザインや結果、さらには多言語コミュニケーションにおけるより広い視点について、示唆に富んだ質問や洞察を寄せてくださいました。

Jiaxin Yan, Victoria-Anne Flood, Motoaki Sugiura, Hyeonjeong Jeong
Beyond Words: How Gestures Shape Speech Comprehension and Retention in the Bilingual Brain
Organization for Human Brain Mapping, Brisbane, Queensland, Australia【 Poster 】
https://www.humanbrainmapping.org/i4a/pages/index.cfm?pageid=1