文化は人間の身体動作の認識において重要な役割を果たしている

AIによって「人間のような身体動作を生成する技術」は,現在注目を集めている研究テーマです.人間の知覚に基づく最初の「人間らしさ」の評価は,身体運動を通じて人間性を表現し理解する基本的な原理を提供しましたが,これらの原理が普遍的に適用可能かどうかは不明です.私たちは,2つのアジア文化のグループを対象にした比較研究を実施し,台湾の役者は主に運動学的手がかりを活用してより高い運動エネルギーを示したのに対し,日本の役者は独自の生活経験に基づいて人間らしさを表現していることが明らかになりました.世界的には文化的に近いと考えられる2つのグループでの結果から,アバタ等を用いて人の身体動作を生成・表現する際には,文化的な文脈が人間らしさの表現と知覚に与える影響を理解しておく必要があることが示されました.これにより,人間の動作の手がかりに関する理解を深め,グローバルな規模でコンピュータと人間の相互作用を向上させるため,より広範なクロスカルチャーおよび多地域的な調査の必要性が浮き彫りになりました.

この研究成果は,4月26日~5月1日に横浜で開催されたヒューマンコンピュータインタラクション分野のトップコンファレンスCHI 2025(Conference on Human Factors in Computing Systems)のLate Breaking Work のプログラムに採択され,ポスター発表しました.

CHI 2025のプログラムページ(https://programs.sigchi.org/chi/2025/program/content/194486

論文
Xiaoyue Yang, Miao Cheng, Ken Fujiwara, Yangyang Cai, Yoshifumi Kitamura, Chiahuei Tseng: Culture Matters in Humanness Recognition for Human Body Motion, CHI EA ’25: Proceedings of the Extended Abstracts of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems, Article No.: 161, Pages 1 – 8
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706599.3719872