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XR技術による歯の切削トレーニングシステム

歯学部の学生にとって,歯の切削は重要なスキルです.しかし,一般のVR歯切削トレーニングシステムは,高価でかさばるハプティックデバイスに依存しているものが多いため,個人練習の機会が限られてしまっています.また,能動型ハプティックデバイスの最大反力による制限により,再現できる歯の硬さの範囲にも限界があります.そこで我々は、3Dプリントした物理的な歯モデルと3次元的に追跡されたハンドピースを使用する受動的なハプティクスのアプローチを採用したコンパクトなXR歯切削トレーニングシステム「VirtuEleDent」を提案しました. 歯やハンドピースの空間的な関係はヘッドマウントディスプレイ(HMD)で提示されるバーチャル環境内で正確にレンダリングされ,バーチャル歯切削訓練中に使用者にリアルなハプティクス感覚を提供することができます.トラッキングプラットフォームは電磁誘導方式(EMR)スタイラス技術を使用して操作され,デジタイザー(トラッキングボード)とハンドピース装置で構成されています.カスタマイズされたEMRスタイラスユニット(共鳴コイル)と慣性計測装置(IMU)センサーがハンドピース内に設置されており,その先端の3次元位置と方向を正確に測定することができます.このセットアップにより,学習者はヘッドマウントディスプレイで仮想の歯切削を体験しながら,歯モデル上で精巧なハンドピースを実際に操作することができます.

2025年3月にフランスのサンマロで開催されたバーチャルリアリティのトップコンファレンス IEEE Virtual Reality and 3D User Interfaces で論文を発表し,また,プロトタイプシステムのデモも行いました.そして,Honorable Mention Best Research Demo Awardを受賞しました。

本研究は,東北大学 電気通信研究所,同大学 歯学研究科,芝浦工業大学,株式会社ワコムの共同研究の成果です.