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からだで表す感情 ―アジア人データベース作成の取り組み

人が全身を使って表現した感情(喜び,悲しみ,怒り,恐れ,驚き,嫌悪,軽蔑)をモーションキャプチャ装置により測定しました.それぞれの人には,自らが選んだシナリオに沿って自由に, それぞれの感情を弱・中・強の3つの強度で演じ分けてもらいました.この目的のため,今回は,プロの役者さんに演じてもらいました.
得られた動作を18あるいは57個の点群(バイオロジカルモーション刺激)として別グループの参加者提示し,表されている感情を他者が正確に言い当てることができたことを実証することで,本研究で構築したデータベースがアジア人特有の感情表現を紐解くうえで貴重な資料となることを示しました.

ボディランゲージという言葉があるように,私たちは日々の生活の中で感じたことをしばしば身体を使って表現します.しかし,異なる感情を伝える際に私たちがどのような部位をどのように動かすのかについては,多くのことが明らかになっていません.欧米諸国で作成されたデータベースに頼ることなく,アジア文化特有の感情表現を紐解くため,本研究ではプロの日本人役者が全身で表現した感情(喜び,悲しみ,怒り,恐れ,驚き,嫌悪,軽蔑)をモーションキャプチャ装置により測定しました.役者たちは各感情を演じるために事前に自作のシナリオを3種類用意し,それらを弱・中・強の3つの強度で演じ分けました.その後,別グループの実験参加者を対象に,得られた動作を18あるいは57個の点群(バイオロジカルモーション刺激)として提示した結果,表された感情は正確に識別されることが分かりました.このデータベースが,多様な文化的背景や文脈における感情表現の,より包括的な理解に貢献することが期待されます.

本研究成果は,2024年12月10日にBehavior Research Methods 誌に掲載されました.