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リアル/フィジカル空間内の音手掛かりを用いた視聴覚リダイレクション

VR体験中のユーザに対して,HMD内の映像を視覚的に操作することによりユーザの歩行軌跡を気づかれずに誘導する,リダイレクテッドウォーキング (Redirected Walking: RDW) という手法があります.いくつかのRDWの研究では,バーチャル/サイバー空間の手がかりとして視覚以外に聴覚(バーチャル/サイバー空間内に存在するオブジェクトから発せられる音)も追加すること(視聴覚リダイレクション)が検討されてきましたが,その効果は限定的でした.これに対し本研究では,VR空間内の音ではなく,リアル/フィジカル空間から発せられる音(テレビの音,洗濯機の音など)がRDWの知覚に与える影響について検討しました.実験の結果,実空間内のある位置に固定された音源を提示した場合,RDWの視覚操作がその音源に対する定位精度を低下させ,結果としてRDWの効果を向上させる(視覚操作を気づかれにくくする)可能性が示されました.

本研究成果は,2023年8月28日にIEEE(米国電子情報学会)の科学誌IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphicsのオンライン速報版に掲載され,VR分野で最大の重要国際会議である IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces (IEEE VR & 3DUI 2024, 3月16〜21日,米国・オーランド) で口頭発表されました.

また,メタバース総研 メタバースの研究事例まとめ に研究成果が掲載されました(2023年11月22日).